home食品衛生コラム食品と微生物とビタミン愛第1話 食品と微生物とビタミン愛

第1話 食品と微生物とビタミン愛

2014.04.01

日本食品分析センター学術顧問・北海道大学名誉教授 一色賢司

一色 賢司先生の略歴

http://researchmap.jp/isshiki-kenji/

人間は従属栄養生物です。他の生物を食材として食べて命をつないでいます。我々の食材は、微生物の生活の場となることもあります。飲食に起因する体調不良や食品の悪変の原因について、特に食品と関係の深い微生物について解説しようと思います。

健全な食生活を安定的に送るための対策について述べて参りますが、液体発酵食品の飲み過ぎについては各自、他人に迷惑をかけないよう自己責任で対応していただきたいと思います。

 

食品の微生物制御という言葉があります。我が国では、古来より微生物の恩恵を受けて食生活を営んできました。一方、食品が媒介した病原体やその毒素で多くの先人が苦しんだことと思われます。

「誰がどのように当該食品を食べるか」などの思いやりを持たずに微生物制御に取り組むと失敗を繰り返すことになると思われます。ビタミン愛を持って、食品と微生物との共存を続けて欲しいと願っています。

 

 微生物の小ささ                

納豆菌 人類は他の生き物やその代謝物を食べ続けています。水、塩、あるいは食品添加物の一部を除いて食品は生物に由来し,人間に不都合な成分を含むこともあり,病原体などを媒介する場合もあります。

一方で、お酒やみそ、しょう油のように微生物の恩恵を得て食べている場合もあります。この場合を発酵と呼んでいます。左の写真は、納豆菌が集団を作っている様子です。

 

 

 

食品は、有害な微生物や毒性を持つ物質による汚染を受けることもあります。また、放置すれば腐敗や変敗とよばれる変化を起こして食用不適となることもあります。

下の図は、我々の食べ物が変化し、食べ物ではなくなって行く現象を分類した概念図です。

hyou1600.jpg

 

 多くの場合、微生物が関わっています。人類の出現より、はるか昔から微生物は地球上で暮らしを始めていました。現代まで生き延びてきた微生物は、地球環境の変化に対応して、種類を増やしてきたと考えられます。微生物の特徴の代表は、小さい事だと思われます。

 

o157300.jpg右の写真は、我々を悩ませている腸管出血性大腸菌O157:H7の電子顕微鏡写真です。

大きさは約1~2μmです。1000μmで1mmですので、O157を直線状に1000個並べて、やっと1~2mmです。

糸状菌とも呼ばれるカビは、長く伸びて水や栄養素を得ています。菌糸とも呼ばれています。

ウイルスは、自分だけでは増殖できないので生物と非生物の中間の位置にいますが、その大きさはO157などの細菌よりもさらに小さく、多くの患者を出しているノロウイルスは約30nm(ナノメーター)くらいです。1nmは1μmの1/1000ですので、ノロウイルスは約33,333個直線状に並べると1mmになります。

 

 小さい微生物とどのようにして、生活を共にして行けばよいのでしょうか。孫子は「彼を知り、己を知れ」という言葉を残しました。次回から微生物の性質やその対策について考えて行きましょう。

 

【参考文献】

小久保彌太郎編:現場で役立つ食品微生物Q&A 第3版、中央法規出版(2011)

一色賢司編:食品衛生学、東京化学同人(2014)

食品安全委員会:食中毒予防のポイント-食中毒にご注意ください、http://www.fsc.go.jp/sonota/e1_shokutyudoku.html