home食品衛生コラム食品と微生物とビタミン愛第100話 さかのぼり食品衛生年表

第100話 さかのぼり食品衛生年表

2022.07.01

日本食品分析センター学術顧問・北海道大学名誉教授 一色賢司

一色 賢司先生の略歴

http://researchmap.jp/isshiki-kenji/

2022/7/1 update

  

 1.早いもので

本コラムは、第100話を迎えました。食品衛生上の出来事について、振り返ってみようと思います。ここ90年間ほどの気になった食中毒や出来事などを、さかのぼって表1に並べてみました。表1の内容は、「氷山の一角のそのまた一部」に過ぎません。第96話のように、表面化していない食性病害やヒヤリ・ハット事例もあります。

現在の食生活は、ご先祖の苦労の上に成り立っています。食品衛生に関しても多くの経験があり、教訓を得ています。飢餓にも耐えながら、「前例のある失敗」を繰り返さないようにして食生活を維持してきました。これからも、変化する環境に適切に対応し、健全なフードチェーンを維持してくれることを期待しています。

 

2.アフリカから日本へ

人類の食べ物は、食塩などの例外を除けば生物に由来しています。ご先祖は他の動物から餌にされる恐怖にも、空腹にも耐えて生き延びてきました。最初の人類が誕生したのは、約700万年前のアフリカとされています。約2000万年前から始まっていた地殻変動により、森の減少が続いていました。木の上で生活していたご先祖は、食べ物を得ることが難しくなりました。やがて、地上で生活を送るようになりました。

直立二足歩行を始めると、両手でたくさんの食料を持ち帰ることができました。人類の妊娠や出産、子育ては大変です。食料調達能力の高い父親が、頼りにされるようになり、家族にために直立二足歩行が定着していったと考えられるようになりました。

また、霊長類の中で魚類を食べるのは、新人類ホモ・サピエンスだけです。日本人はフグまでも食べています。旧人類が滅び、新人類が生き延びている理由の一つに、新人類が水産物も食べたことがあると考えられるようになりました。

ご先祖は、「そのままでは食べられない物」も知恵と技術を駆使して、食べられるようにしてきました。より安全で消化可能になり、美味しく食べられるように工夫してきました。より美味しい物を食べることは、空腹を満たすだけではなく、喜びにもなりました。安全で美味しい食品の安定調達には、食料の一次生産から最終消費までのフードチェーンでの一貫した、適切な取り組みが不可欠です。1969年にCodexは、「HACCPシステムとその適用のためのガイドライン」を付属文書とした「食品衛生の一般原則」を採択しました。2020年には、付属文書を第2章として昇格させた改訂が行われています。

 

3.変化は続く、いつまでも

環境などの変化に対応しながら、工夫を加えて、食生活は改善されてきました。現在の食品安全はリスクの存在を前提として、管理が行われています。「君子危うきに近寄らず」と言われる一方で、「虎穴に入らずば、虎子を得ず」とも言われます。「毒があるものは食べない」とリスク回避ばかりしていたら、新人類も絶滅していたと思われます。「どのように、どれだけの量を食べれば良いのか」という確率的な概念を取り入れて、餓死などを含むリスクを分散させて、食生活を送っています。

ご先祖から受け継いだ加工・調理技術も発展させてきました。やがて遠方の食べ物も入手できるようになり、安定的な食料調達や保存の手段も増えました。フードチェーンの拡大に伴い、新たな食生活を経験することになりました。

食生活も、教訓を得ながら改善され、変化しています。嫌なことは忘れないと生きて行けないのも事実で、全てを覚えておくことはできません。「気になる前例」が表1にあれば、後悔しないように調べて、必要な対策を講じてください。「前例のある失敗」を、繰り返さないように参考にしていただけたら幸いです。

 

参考文献

1) 厚生労働省:食中毒統計・調査結果https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html

2) Codex Alimentarius International Food Standards: General Principles of Food Hygiene CXC 1-1969 Revised (2020)

3) 島泰三:魚食の人類史-出アフリカから日本列島へ、NHK出版(2020)

4)国立保健医療科学院 健康被害危機管理事例データベース
https://www.niph.go.jp/h-crisis/archives/category/315/

5)日本食品衛生学会:食中毒事件例、食衛誌, 63, J-26-34(2022)
https://iap-jp.org/shokuhineisei/services/login.html

 

表1 食品衛生関係の主な出来事―遡り年表 2022年6月23日現在)


 

2022年(令和4年)<新型コロナウイルス感染症まん延、ロシアのウクライナ侵攻>

【国内】・自衛隊で弁当によるウェルシュ菌食中毒、267人発症。・家庭でグロリオサの根を誤食し、1名死亡。【国際】・ベルギー産チョコレート菓子によるサルモネラ属菌食中毒による国際的リコール実施。・米国、育児用調製粉乳の細菌汚染被害の発生と生産停止による育児用粉乳の不足。

 

2021年(令和3年)<新型コロナウイルス感染症まん延、東京オリンピック・パラリンピック開催>

【国内】・学校と保育所で給食の牛乳を飲み、1,896人発症。病因物質は、下痢原性大腸菌と推定。・寄生虫アニサキスとその他の病原大腸菌による食中毒を除外すると、食中毒は例年よりも減少していた。

  

2020年(令和2年)<新型コロナウイルス感染症まん延、東京オリンピック・パラリンピック延期>

【国内】・食料自給率37%(カロリーバース)。・飲食店でサルモネラ属菌食中毒、患者数95名。保育園給食によるサルモネラ属菌食中毒では、44名発症。・家庭、グロリオサの根誤食、患者数2名、死者1名。・事業所給食でヒスタミン食中毒、ウルメイワシ、患者数46名。・旅館でヒラメによるクドア食中毒発生、患者数33名。・各地の給食施設や食堂などで、ウェルシュ菌食中毒が多発。・学校給食施設が調理した小中学校給食で、2,958人が下痢や腹痛。海藻サラダから病原大腸菌O7H4検出。・仕出し弁当により毒素原性大腸菌O25食中毒で2,548人発症。・毒キノコ食中毒、2人発症、1名死亡。・小学校の給食で、カンピロバクター属菌食中毒発生、106名発症と105名発症の2例。【国際】・Codex「食品衛生の一般原則」改訂。

2019年(平成31年・令和元年)

【国内】・病院給食によるサルモネラ属菌食中毒、患者数70名。料理店では、患者数60名。・旅館でのカンピロバクター属菌食中毒2件発生。患者数54名と45名。・飲食店や仕出し料理店などでもウェルシュ菌食中毒多発。・学校給食でヒスタミン食中毒、患者数67名。・イヌサフランを誤食し、2名死亡。【国際】・英国、サンドイッチによるリステリア食中毒発生。9人発症、6人死亡。・スペイン、RTE食肉製品によるリステリア食中毒発生。150人発症、1人死亡、流産2件。

2018年(平成30年)<西日本豪雨>

【国内】・食品衛生法改正成立、HACCPに沿った衛生管理の制度化など。【国際】・フランス、粉ミルク、サルモネラ属菌汚染、83国に影響。・マダガスカル、海亀を食べた子供8名死亡。・オーストラリア、ロックメロンによるリステリア食中毒、患者20名、7名死亡、1名流産。・WHO、世界的規模で高レベルの抗生物質耐性が見られることを警告。・米国・カナダ、腸管出血性大腸菌O157:H7食中毒、ロメインレタスが原因食か、患者121名、死者1名。・EU 2015年以降の冷凍コーンによるリステリア食中毒、同一菌株と判明、患者32名、死者6名。・米国、卵で23人サルモネラ属菌食中毒、2億個の卵をリコール。・米国とカナダで210人のO157食中毒患者、5名死亡。アリゾナ州産のロメインレタスが原因食品として疑われたが、生産農場不明のまま。・南アフリカ、2017年に引き続き、リステリア症を1,060名発症、216名死亡。原因食品はRTE食肉製品と判明。

2017年(平成29年)

【国内】・健康牛の牛海綿状脳症(BSE)検査廃止。・消費者庁は加工食品の原料・原産地表示制度を発表。・学校給食、キザミノリによるノロウイルス食中毒発生。1100名以上発症。他の自治体1府3県で発生していたノロウイルス食中毒も、キザミのりが原因食品と判明、合計患者数、約2000名。・乳児ボツリヌス症で1名死亡。蜂蜜をジュースに混ぜて飲ませていた。・イヌサフラン誤食、3名発症、1名死亡。・アニサキス食中毒急増、10年間で20倍以上に。・惣菜等によるO157食中毒、45名発症、死者1名(発生以前に、同じ遺伝子を持つO157に感染していた人が全国で50人いたことが判明)。【国際】・南アフリカ、リステリア症を577名発症、36名死亡。原因食不明。2018年参照。・米国とカナダ、66人のO157食中毒患者、1名死亡。カリフォルニア産のロメインレタスが原因食品として疑われたが、出所不明。

2016年(平成28年)<熊本地震発生>

【国内】・食料自給率、38%カロリーベース。・イヌサフラン誤食、1名死亡。・トリカブト誤食、1名死亡。・催事で生食肉提供。カンピロバクター属菌食中毒。福岡108人、東京49人発症。・東京都と千葉県の老人施設でO157食中毒。患者84名、死者6名。キュウリのシソ和え。同一業者が納入。・冷凍メンチカツ (総菜半製品)でO157食中毒。67名発症。 

2015年(平成27年)

【国内】・アレルギー疾患が増加傾向、食物アレルギーは増加。・異物混入の苦情増加。・機能性表示食品制度開始。・食品安全委員会、「健康食品の課題に関する報告書」発表。・豚肉と内臓の生食禁止。【国際】・米国FDA、遺伝組換えサケを食品として承認。・モザンビークで飲み物により56人死亡、ワニの胆汁の混入説あり。・米国、アイスクリームによるリステリア食中毒,3人死亡、・米国,トランス脂肪酸の原因となる油脂の使用を3年後に原則禁止。・米国、キュウリ食中毒、サルモネラ属菌S. Poona、767名発症、4人死亡。・ミラノ国際博覧会で、カツオ節の安全性が問題となった。

2014年(平成26年)<御嶽山噴火>

【国内】・学校給食の食パンによるノロウイルス食中毒、1,271名発症。・飲食店でのキーマカレーによるウェルシュ菌食中毒、900名発症。仕出し店の弁当によるブドウ球菌食中毒、741名発症。・冷やしキュウリによるO157食中毒、510名発症、HUS発症5名。・E型肝炎患者倍増し、牛レバーの生食は禁止された。豚レバー生食が増加した。【国際】・デンマークでソーセージによるリステリア食中毒。13名死亡。

2013年(平成25年)<淡路島地震>

【国内】・メニュー偽装事件が多発。食品表示法成立、公布。冷凍食品への有機リン農薬混入事件が表面化。

2012年(平成24年)

【国内】・アズキバットウを食べホツリヌス中毒を2名発症。レトルト殺菌品ではなかった。・アオブダイを食べパリトキシン様食中毒で1名死亡。・トリカブトとニリンソウを間違えて食べ2名死亡。・アイスクリーム製品包装不良で300万個回収。・牛レバーをとしての販売を禁止。・白菜の浅漬けを原因食とするO157食中毒発生。患者数169名、死者8名。・カット長ネギによるO148食中毒。580名発症。・学校給食で食物アレルギーによる死亡事故発生。乳アレルギー。チーズ入りチヂミをおかわり。・1000人規模のノロウイルス食中毒が複数件発生。【国際】・アレルギー(落花生)表示がない輸入チョコレート菓子260万箱回収。

2011年(平成23年)<東日本大震災、福島第一原子力発電所事故>

【国内】・フグ処理士の資格を持たずにフグ肝を調理して1名死亡。学校給食でサルモネラSE菌中毒。患者数1500名を超える。・コメ(玄米および精米)のカドミウムの規格基準を0.4mg/kgに改正。福島原子力発電所事故による放射性物質の放出。食品に暫定規制値設定。・生肉ユッケ由来のO111O157による食中毒発生。患者181名、死者5名。・団子O157による食中毒発生。患者200名超、死者1名。・事業所給食で580人が腸管毒素原性O148食中毒、原因食は、袋入りカット長ネギ。・生食用食(牛)肉の規格基準施行。・安全性審査なしに遺伝子組換え添加物が輸入され販売されていたことが判明。・小麦加水分解物含有石鹸による深刻なアレルギー症が問題となる。【国際】・ドイツを中心とする13ケ国で芽物野菜(フェヌグリーク)由来のO104:H4による食中毒発生。患者 4,075名、死者50名。・レストランで集団ゾンネ赤痢菌食中毒。東北4県で52人発症。原因食は野菜の浅漬け。・米国でメロンによるリステリア食中毒。147名発症、流産1名、33名死亡。

2010年(平成22年)

【国内】・厚労省食中毒調査支援システム(NESFD)運用開始。・トリカブト誤食、1名死亡。・仕出し弁当による大型食中毒(患者数500名以上)が4件発生した。病因物質は、ノロウイルスサルモネラ属菌その他の病原大腸菌であった。【国際】・米国、卵によるサルモネラ属菌食中毒、1,939人発症確認。

2009年(平成21年)

【国内】・小・中学校でヒスタミン食中毒。患者数279名。・消費者庁および消費者委員会発足。・グリシドール脂肪酸エステルの発がん性が疑問視され、特定保健用食品制度の見直しが始まる。【国際】・米国、ピーナッツ加工品によるサルモネラ属菌食中毒。22,500名発症、9名死亡。

2008年(平成20年)<リーマン・ショック>

【国内】・冷凍餃子(中国からの輸入品)による有機リン系農薬混入事件、3件10名発症。・食物アレルギー義務表示(えび,かに)の追加。・20ヶ月齢以下の牛のBSE検査国庫補助修了。・事故米の不正流通発覚、・こんにゃくゼリーによる窒息死が社会的問題となる。【国際】・中国産育児用粉末ミルクへのメラミン混入問題が発覚。幼児発症者約300,000名、50,000人入院、死者6名。115種類の食品からもメラミンを検出。・カナダ、RTE食肉製品によるリステリア食中毒、57名発症、23名死亡。・米国、メロンによるリステリア食中毒発生。146人発症、30人死亡。・アイルランド:ダイオキシンに汚染されていることが判明し、豚100,000頭を殺処分。

2007年(平成19年)<郵政民営化。能登半島地震。新潟県中越沖地震>

【国内】・消費期限切れの原料を使った洋菓子が社会問題になる。・テレビ番組のデータ捏造、発覚。・偽装牛肉ミンチが発覚。・賞味期限などの偽装発覚。

2006年(平成18年)

【国内】・ノロウイルスの流行が早期化、患者数が増大。・残留農薬等のポジティブリスト制度導入。【国際】・米国、カットホウレンソウによるO157広域食中毒発生。患者数205名。死者3名。・米国、ピーナッツバター、サルモネラ属菌食中毒、700名以上発症、

2005年(平成17年)<地球温暖化防止京都会議(COP3)。福岡県西方沖地震>

【国内】・食品期限表示の設定のガイドラインについての通知。・BSE検査対象牛の月齢を、21カ月以上に改正。・我が国初のvCJD患者に確定診断。英国滞在歴あり。・食品安全委員会、我が国におけるBSE対策に係る食品健康影響評価の結果を通知。【国際】・未承認遺伝子組換えトウモロコシBT10を、米国からの輸入飼料用から検出。・特別老人養護施設でO157集団感染症発生。患者数26名、死者4名。・毒キノコによる食中毒発生。死者2名。・フグによる食中毒発生。死者1名。・特別老人養護施設でO157集団感染症発生。死者6名。・児童福祉施設でO157集団感染症発生。3歳男児1名死亡。

2004年(平成16年)<アテネオリンピック、新潟中越地震>

【国内】・国内でも鳥インフルエンザ発生、鶏・卵の移動禁止。・発がん性が認められたアカネ色素を既存添加物名簿から削除、・食品安全委員会、「日本におけるBSE対策-中間取りまとめ-」公表、・E型肝炎ウイルスの感染発生。豚肉の生食による感染。・厚労省研究班、3年前の北海道のチーズによる食中毒の原因をリステリアと結論。・ビタミンC剤等添加で牛肉鮮度の偽装発覚、・急性脳症の報告が増加。原因はスギヒラタケとする説もあり、厚生労働省は研究班設置。【国際】・米国でBSE牛発見。輸入禁止。・ケニア、トウモロコシのアフラトキシンで317名発症し、125名死亡。

2003年(平成15年)<イラク戦争勃発>

【国内】・厚労省、妊婦らに魚介類からの水銀摂取を注意喚起。・食品安全基本法施行。内閣府食品安全委員会発足。食品衛生法等の改正。・食品安全委員会は「アマメシバ粉末・錠剤」の長期摂取と気管支炎発症の因果関係を認定。厚生労働省は流通・販売を禁止。【国際】・カナダでBSE感染牛発見。カナダ産牛肉等の輸入禁止。・米国でBSE感染牛発見。米国産牛肉等の輸入禁止。

2002年(平成14年)<サッカーワールドカップ日韓共同開催>

【国内】・BSE対策特別措置法公布。・BSEに関連する牛肉すり替え事件発生。・食品安全基本法(仮称)制定、食品安全委員会(仮称)設置の決定。・表示偽装事件が多発。・高齢者施設でO157食中毒。28人が発症し9人が死亡。・アクリルアミドに関してWHOが懸念表明。【国際】・輸入ホウレンソウなどの残留農薬問題表面化。・添加物、香料や農薬の非合法使用が表面化。・国産と偽装された韓国産カキによる赤痢菌食中毒事件発生。患者数160名。

2001年(平成13年)<中央省庁再編、米国で同時多発テロ発生>

【国内】・厚生省と労働省が統合され厚生労働省となる。・牛タタキによるO157食中毒発生。・異物混入事例が多発し、リコールが増加。・国内でBSE感染牛を初めて発見。と畜場でのBSE全頭検査開始、特定危険部位の除去等導入。【国際】・BSE侵入防止のため、EU諸国等からの牛肉、肉骨粉などの輸入を禁止。

2000年(平成12年)

【国内】・腸炎ビブリオ食中毒が増加。厚生省が発生防止対策を通知。・低脂肪乳による大規模食中毒発生。14,780人発症。病因物質は黄色ブドウ球菌毒素。・遺伝子組換え食品の安全性審査義務化告示。【国際】Codexバイオテクノロジー応用食品特別部会を、日本は議長国として横浜で開催。

1999年(平成11年)<JCO臨界事故発生>

【国内】・乾燥イカ菓子によサルモネラ属菌食中毒が全国で発生。患者数1,634名。【国際】・ベルギー産飼料がダイオキシンに汚染されていたことが判明。

1998年(平成10年)<長野冬季オリンピック>

【国内】・食品にヒ素化合物を混入する事件が続発(和歌山では、4名死亡、67名搬送)。・アジ化ナトリウム混入事件。お茶等に混入、模倣事件5件発生。・「いわゆる環境ホルモン」問題が表面化。・イクラしょうゆ漬けによるO157による広域食中毒発生。49名発症。【国際】米国、持ち帰りRTE食品でリステリア食中毒発生。100名発症、21名死亡。

1997年(平成9年)

【国際】・Codex総会「食品衛生の一般的原則」採択、「HACCPシステムとその適用のためのガイドライン」も採択。

1996年(平成8年)

【国内】・BSEを家畜伝染病予防法に基づく法定伝染病に指定。・改正食品衛生法施行。・O157:による集団食中毒発生(カイワレ大根が原因とされる学校給食など)。患者数は、この年だけで10,120名、死者は12名。【国際】・大豆、ナタネ等7品目の遺伝子組換え農産物の輸入承認。・成分無調整乳の偽装発覚。・英国、BSEvCJD (変異型クロイツフェルト・ヤコブ)の関連を認め、30ケ月以上の牛を殺処分し、食用を禁止する。・米国、リンゴジュースによるO157食中毒、70名発症、1名死亡。・米国、カナダでサイクロスポーラ感染症発生、1,400人発症。原因食品は、ガテマラ産ラズベリー。

1995年(平成7年)<阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件>

【国内】・食料自給率はカロリーベースで37%、 穀類ベースで22%。・加工食品の表示を、製造年月日から賞味期限・消費期限に変更、・改正食品衛生法を公布、「総合衛生管理製造過程」としてHACCPの承認制度導入。

1994年(平成6年)<異常気象による米不足>

【国内】・製造物責任(PL)法公布。【国際】・英国、全月齢の牛内臓を食用禁止。・米国、遺伝子組換え技術により日持ちを向上させたトマトを販売開始。・OECD 新規食品の安全性に関する臨時会合開催。

1993年(平成5年)

【国際】・米国、ハンバーガーによるO157食中毒発生。患者732名、4名死亡。・ポストハーベスト農薬問題が表面化。・英国、BSE症例牛が10万頭を超える。

1992年(平成4年)

【国内】・・34農薬について新たな残留基準設定。

1991年(平成3年)<湾岸戦争勃発>

【国際】・牛肉・オレンジの輸入を自由化。・南米諸国でコレラまん延。約400,000人発症、約4,000人死亡し、ペルー産水産物が関係したと推測された。

1990年(平成2年)

【国内】・幼稚園でO157感染症発生。【国際】・英国、BSEと疑われる牛を全額補償で殺処分。・輸入レモンから農薬2,4-Dを検出。

1989年(昭和64年・平成元年)

【国際】・英国、6ケ月月齢以上の牛内臓(特定臓器)の食用を禁止。

1988年(昭和63年)

【国内】北海道でサルモネラ属菌食中毒発生。原因食品は、錦糸卵。患者数10,472名。【国際】・英国、BSE届出伝染病に指定。BSEと疑われる牛を1/2補償で殺処分。

1987年(昭和62年)

【国際】米国、チーズによるリステリア食中毒発生。52人死亡。カナダ、ムール貝による貝毒ドイモイ酸中毒発生。107人発症、12人重度記憶障害、4人死亡。

1986年(昭和61年)<チェルノブイリ原発事故>

【国際】・英国、BSE感染牛を初確認。

1985年(昭和60年)<筑波万博>

【国内】・ジュース類にパラコートを混入する事件発生。13名死亡。【国内、国際】・ワインからジエチレングリコール検出。

1984年(昭和59年)

【国内】・グリコ・森永事件発生。食品に青酸カリを混入。・真空包装辛子蓮根によるボツリヌスA型菌食中毒が、各地で発生。患者31名、死者11名。【国際】米国、サラダバーによるサルモネラ属菌食中毒発生。患者数751名。バイオテロであることが判明。

1982年(昭和56年)

【国内】・ショッピンセンターの管理不良の井戸水で食中毒、7,751名が発症。カンピロバクター属菌病原大腸菌を検出。

1981年(昭和56年)

【国内】・健康食品クロレラに指導基準を設け規制。・食品添加物の表示義務化を決定。

1980年(昭和55年)

【国内】・食品添加物過酸化水素の発がん性が疑われ、製品回収が行われる。【国際】・タイ産冷凍エビ゛からコレラ菌を検出。

1977年(昭和52年)

【国内】・クロレラ食品常用者に皮膚炎などが発生。

1976年(昭和51年)

【国内】・東京都内でツリヌスA型菌食中毒発生。患者2名のうち、1名死亡。

1975年(昭和50年)

【国内】・酒田駅で弁当による食中毒発生。患者数130名、死者3名。腸炎ビブリオ黄色ブドウ球菌セレウス菌を検出。【国際】・輸入レモンから、未認可の防黴剤OPP検出。

1974年(昭和49年)<ベトナム戦争終結>

【国内】・食品添加物AF2の使用を禁止。

1973年(昭和48年)<オイルショック>

【国内】・PCBの使用禁止。・パラフィン資化酵母(石油酵母の異名)の飼料化への反対運動。

1972年(昭和47年)<沖縄の本土復帰、札幌冬季オリンピック>

【国内】・PCBによる魚介類の汚染が問題化。・芽止め目的のジャガイモへの放射線照射認可。

1971年(昭和46年)

  【国内】・環境庁発足。・農薬取締法を改正し、毒性・残留性の審査・使用規制など強化。農薬DDTの販売を禁止。

1970年(昭和45年)

【国内】・食料自給率76%。米のカドミニウムの汚染許容量の基準設定。玄米1ppm、白米0.9ppm未満。

1969年(昭和44年)

【国内】・人工甘味料チクロの使用を禁止。・PCB等による牛乳汚染が問題になる。・日本BHC工業会、農薬BHC、DDTの製造中止を決定。

1968年(昭和43年)

【国内】・消費者保護基本法公布。・イタイイタイ病を公害病に認定。・第一水俣病の原因が化学工場であると断定。・科学技術庁は第二水俣病の原因が別の化学工場であると発表。・米糠油による油症事件発生。原因は、熱媒体PCBの混入であった。・薩摩揚げによる食中毒で608人が発症、4人死亡。病因物質はサルモネラ属菌であった。・学校給食の冷やし中華で教職員や生徒1,383人が発症。病因物質は、タレで増殖したウェルシュ菌であった。

1967年(昭和42年)

【国内】・公害対策基本法公布。・パラチオンの製造・使用を1970年から禁止。

1966年(昭和41年)

【国内】・カキによる食中毒発生。関東以西で129件、1,569名発症。病原大腸菌検出例が多い。

1965年(昭和40年)

【国内】・新潟、阿賀野川流域で水俣病に似た有機水銀中毒患者が発生。

1964年(昭和39年)<東京オリンピック開催>

【国内】・即席めん類の油脂による食中毒発生。

1962年(昭和37年)

【国際】・国連、FAO/WHO/Codex国際食品規格委員会発足。・コレラ対策で台湾バナナの輸入を禁止。

1960年(昭和35年)

【国内】・家庭にも電気冷蔵庫が普及。【国際】・英国で七面鳥が大量死、後にアフラトキシン汚染と判明。

1957年(昭和32年)

【国際】・ビルマ産のバター豆、ホワイト豆などから多量の青酸を検出。

1956年(昭和31年)<日本が国際連合に加盟>

【国内】・水俣湾の魚介類常食者に水俣病が発生。

1955年(昭和30年)

【国内】・脱脂粉乳による溶血性ブドウ球食中毒発生。学校給食で児童1,219人が発症。本メーカーは、2000年に同様の食中毒事件を再発させた。・人工栄養児の死亡や体調不良が多数発生した。ヒ素ミルク中毒事件として対策が取られた。

1954年(昭和29年)

【国際】・第五福竜丸、南太平洋ビキニ環礁へ出漁中に水爆に被曝。築地市場のマグロから強い放射線を検出し廃棄処分。・黄変米の配給中止を決定。

1953年(昭和28年)

【国内】・食品衛生法施行令制定公布。・パラチオンの使用急増で農薬禍が表面化。

1952年(昭和27年)

【国際】・ビルマ産輸入米から黄変米を検出。移動禁止。タイ産、トルコ産米からも黄変米検出。

1951年(昭和26年)<サンフランシスコ平和条約調印>

【国内】・食品衛生監視員(11人)、業務を開始。輸出入食品の検査を開始。・北海道のニシンのイズシでボツリヌス食中毒。4名死亡。

1950年(昭和25年)

【国内】・シラス干しを食べて20人が死亡。

1948年(昭和23年)

【国内】食品衛生法施行。・配給された大豆粉を食べ、約800人が発症し2人死亡。黄色ブドウ球菌検出。【国際】・ビルマからの輸入雑豆で食中毒。31人発症、4人死亡。青酸検出。

1947年(昭和22年)<日本国憲法施行、食品衛生法公布>

1946年(昭和21年)

【国内】 ・人工甘味料資源取締規制を改正し、ズルチンの製造販売を許可。

1945年(昭和20年)<第2次世界大戦終結>

【国内】・メチルアルコールの飲用による死亡者、失明者続出。

1942年(昭和17年)

【国内】・浜名湖のアサリで貝毒食中毒発生。334人発症。144人死亡。

1936年(昭和11年)<2.26事件>

 【国内】・大福餅で2,201人がサルモネラ属菌食中毒を起こし、44人死亡。