home食品衛生コラムHACCPによる食品安全の検証第4話 「DOX」の使用事例ご紹介

第4話 「DOX」の使用事例ご紹介

2009.02.15

弁当総菜工場の例

検査対象

ある弁当総菜工場では30検体用のDOXを使っています。
この工場では毎日約1万個の弁当を製造し、企業や個人宅に宅配しています。 製造は深夜からで、出来た弁当は昼までに宅配しますが、かなり広範囲なので、9時過ぎには工場を出発する便もあります。 弁当を配達すると同時に、前日に配達した弁当容器を回収します。 この配送の中で、余って持って帰る弁当がどうしても出て来ます。 そこで、この持って帰った弁当を検査します。ということは、お客様が食べる昼よりももう少し時間が経ったものが対象になるわけです。ですからこの検査で問題がなければいいわけです。時間的には午後3時から夕方にかけて検査に入ります。

検査の方法

持って帰った弁当は、おかず毎に検査をする場合と、弁当全部をミキシングする場合とがあります。それに一緒に持っていったご飯も対象になります。 ある日の検査は、大根煮、ザーサイともやしの炒め物、餃子、といったものでした。 検査内容は一般生菌(グラムあたり10万個以下)と大腸菌群(グラムあたり110個以下)です。ご飯も検査します。 検査の結果は夜9時から深夜頃にかけてパソコンのモニターに出て来ます。 この検査数値が、従事者全員が工場に入るときに通過する作業靴置き場のホワイトボードに書き込まれます。 深夜0時を過ぎてしばらくすると、最初の仕込み担当の従事者が入ってきますが、この時、前日のデータを見ることが出来ます。

製造環境の検証も一緒に

さて、このホワイトボードですが、前日の弁当の検査データが書いてあるのですが、一緒に、製造環境の検査データも書いてあります。
製造環境の検査はATPのふき取り検査で行いますが、2つのカテゴリーの検査をします。 1つは食品が直接接触する場所で、弁当容器の内側や、釜、ミキシングタンクの内側等になります。
食品が直接接触する場所は重要です。 弁当容器の内側は、回収された弁当容器を洗浄したあと、最終ラインで熱風乾燥殺菌をしますが、この時にATP検査をします。 こういった重要な場所は「科学的検査をして駄目だったら製造をしてはならず、再洗浄して合格させて製造しなければならない場所」というISO22000のOPRP(科学的検査で確認する重要な一般的衛生管理の場所)にしてあります。
OPRPの場所はATP検査で200以下です。そしてこの工場では普通一桁の優秀な数値になっています。 もう一つはランダムに検査者の感覚でどこでも調べます。ドアの取っ手、作業台の上、コンベアといったところで、限界は500以下です。
検査して不合格の場所を2カ所ホワイトボードに入れます。この日は蒸し器の取っ手とそのスイッチが書き出してありました。 これを見て、この場所とは違う作業場所の従事者も「ああ、取っ手やスイッチが危ないな」と、気を引き締めることになります。 この場合、一般的な場所なので、数値を逸脱しても「今日から気をつけて洗浄すること」ということになります。

傾向を見る

このホワイトボードを見ることで、製造環境の検証と、製品そのものの細菌検査結果の両方の傾向がわかります。つまり、一般的衛生管理とHACCPの活動の結果が、このホワイトボードに最も単純な数値としてわかりやすく表れることになります。 DOXは6時間で結果を出すことが出来ますが、それでも弁当工場の場合、お客様が食べたあとにわかることになります。しかし、前日の結果、傾向がわかりますから、3日後にわかるよりも格段に安全確認に役立たせることが出来ます。

6時間の余裕で、飛躍的な安全確認が出来る

製品を製造し、翌日出荷する場合、製造したあと夕方DOXで検査すれば、翌朝結果がわかり、もし問題があったら、出荷停止できます。検査対象も、最大60検体を調べることが出来ますから、一般的な培養検査のようにたった一検体での検査と比べて安全確認が格段に強固になります。 複数の原材料を検査し、6時間後の結果を見て、安全を確認してから製造にかかることも出来ます。 原材料、中間製品、最終製品の複数3群を、一緒に検査することも出来ます。 DOXで、飛躍的な安全確認が出来るようになるのです。

精度の確認を時々

DOXの検査精度を、時々検証することをお勧めします。 例えば、四半期に1回、DOXの検体と同じものを、公的検査に出します。 公的検査の結果と、DOXの結果の差を見て、どの程度の誤差があるのかを確認します。 これによって、より安心な検査が出来ます。この精度の確認は、ISO22000では要求されます。