株式会社 バイオ・シータ 食品細菌迅速自動検査システム DOX (DOX-60F DOX-30F) 一般生菌/大腸菌(群)を迅速に測定

NEW 第87話 「HACCP義務化とCodex食品衛生の一般原則

 

 北海道大学名誉教授・日本食品分析センター顧問 一色賢司
一色先生の略歴
http://researchmap.jp/isshiki-kenji/

2021/6/1 update

  

 

2021年6月1日から、すべての食品事業者はHACCPに沿った衛生管理の実施が義務になりました。2018年6月に食品衛生法が改正され、3年間の猶予期間を経て、HACCPに沿った食品の衛生管理が義務化されました。図1は、義務化された食品の衛生管理の概念図です。

Codex国際食品規格委員会の「食品衛生の一般原則」に準拠した①一般衛生管理を行い、さらに②HACCPによる衛生管理を自主的に実施することが制度化されました。わが国では、Codexの「食品衛生の一般原則」が、2020年9月に改訂されたことを知る人は多くはないようです。本文中にHACCPシステムの適用が組み込まれています。「食品衛生の一般原則」とHACCPの関係について考察してみましょう。

 

1) HACCP制度化

改正された食品衛生法による「HACCPに沿った衛生管理の制度化」では、すべての食品事業者に、①一般衛生管理に加え、②HACCPに沿った衛生管理の実施が求められます。HACCPに沿った衛生管理は、A:「HACCP原則を用いた衛生管理」と、B:「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の両者を意味しています。食品の種類、取扱いの内容、それらの営業規模も千差万別であることを考慮し、取り扱う食品の特性等に応じた衛生管理も可能とされています。

HACCPは自主的な衛生管理手法ですので、自ら食品衛生上の危害の発生を予防するために必須の工程を決定して、予防手段を実行します。

BのHACCPの考え方を取り入れた衛生管理では、事業者団体が作成した手引書を参考にした衛生管理が認められます。手引書は、業界団体が提供しています。厚生労働省のホームぺージからも入手できます。

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179028_00003.html」

①②の衛生管理においても、まず図1の①に示されている一般衛生管理に取り組むことが必要です。Codexの「食品衛生の一般原則」は、国際的な食品の衛生管理に取り組む場合の基礎とされています。わが国は、食料自給率がカロリーベースで38%と低く、国際的な合意を理解しておく必要があります。食品の輸出・輸入においてもCodex原則は尊重されています。

従前、わが国はCodexのHACCP導入勧告に対応していませんでしたので、諸外国にHACCPに基づく衛生管理を要求することはできませんでした。2021年6月1日からは、わが国も国内外の食品取扱者にHACCPに基づく衛生管理を要求することが可能になりました。


 


2)改訂されたCodexの「食品衛生の一般原則」

 一般衛生管理の根拠となっているCodexの「食品衛生の一般原則」は1969年に採択され、1997年と2003年に改訂されています。その後、17年経過して2020年に最新の改訂が行われています。

図2は、2020年に改訂された「食品衛生の一般原則」の文書構成です。図3は、改訂前の文書構成です。改訂前は、「HACCPシステムと適用のためのガイドライン」を付属文書としていました。改訂後は、第1章を適正衛生規範とし、第2章を「HACCPシステムと適用のためのガイドライン」として、本文中に組み込んでいます。改訂された「食品衛生の一般原則」では、従来8要件と呼ばれていた項目を第1章 適正衛生規範(Good Hygiene Practices)としています。

図4~11に第1章の2~9の各セクションの項目を示しました。図1のように食品衛生法に基づき「一般衛生管理」と「HACCPに沿った衛生管理」が必要です。図4~11に示した「Codex食品衛生の一般原則」の構成や内容を理解して、自ら担当する食品の一般衛生管理を実施してください。食品の輸出入に関しても、「Codex食品衛生の一般原則」を理解しておく必要があります。

HACCPシステムの導入では、前提条件とも呼ばれる「Codex食品衛生の一般原則」の整備と実施が成功の鍵になります。

 

 

 

 

 

 

 

3)改訂された「Codex食品衛生の一般原則」の特徴

 図2のように改訂版では、第1章として適正衛生規範GHP,第2章として「HACCPシステムおよびその適用のためのガイドライン」の構造になりました。

 「すべての食品事業者、は製造・加工・販売する食品に影響するハザードを認識し、ハザードの消費者の健康への影響を理解したうえで,それを適切に管理する」とされ、自主的な衛生管理の必要性が強調されています。また、第1章7取扱いの管理(図9)の改訂では、製品およびプロセスの記述,モニタリングおよび是正措置,アレルゲン制御などが追加されています。

第2章のHACCPの7原則12手順に大幅な変更はありません。重要管理点(CCP)に関して、第1章のGHPと第2章HACCPとの関係性が明確になっています。第52話で紹介しました「食品安全文化」の概念も導入されています。

 わが国は食料自給率が低く、国際的なフードチェーンが十分に機能を発揮し続けることが必要になります。新型コロナウイルスに苦しむ世界中の人々と助け合って生き行くことも必要です。食品取扱に携わる人は、改定された「Codex食品衛生の一般原則」も理解しておきましょう。

参考文献:

 

1)厚生労働省:HACCPに沿った衛生管理の制度化

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/index.html

2)Codex食品衛生の一般原則、GENERAL PRINCIPLES OF FOOD HYGIENE、改訂2020年、

http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/sh-proxy/en/?lnk=1&url=https%253A%252F%252Fwork space.fao.org%252Fsites%252Fcodex%252FStandards%252FCXC%2B1-1969%252FCXC_001e.pdf

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