株式会社 バイオ・シータ 食品細菌迅速自動検査システム DOX (DOX-60F DOX-30F) 一般生菌/大腸菌(群)を迅速に測定

第94話 「夢のある良い年になりますように!

 

 北海道大学名誉教授・日本食品分析センター顧問 一色賢司
一色先生の略歴
http://researchmap.jp/isshiki-kenji/

2022/1/1 update

  

   明けまして、おめでとうございます(図1)。 

世界中に新型コロナウイルス感染症(COVID19)が影を落としています。2021年12月12日現在、わが国は感染者数が減少し、小康を得ていますが、油断はできません。

 COVID-19などが蔓延したり、昨年末の米国の竜巻の異常発生(図2)のように天変地異が発生したりしても、人間は食べ続けなければなりません。世界人口は、しばらくは増え続けるとの予想です。皆で、助け合って行く必要があります。

お正月ですので、これからの食料や食品安全問題について考えてみたいと思います。

 

 

1) これからも食べて行くには

 わが国の食生活に楽観的な見通しを持つことは、難しいようです。「何時までもあると思うな、親と金と食料。何時までもないと思うな、運と災と食当り」と思われます。

 気候変動(第93話)やパンデミック(感染症の大流行、第73話など)が現実的な問題となる前から、世界の人口増と食料の調達と分配が心配されていました。地球全体では、100億人をはるかに超える人口を養う食料があると推定されています。現在の世界人口は約79億人で、わが国の人口は約1.2億人です。わが国は小さな国と考えられていますが、地球上の67人に1人は日本国に住んでいます。食料自給率は、37%(カロリーベース)です。

わが国を含む先進国では、人口が減少しています。途上国では、人口が増加しています。世界全体では、当面は増加すると推定されています。世界人口のうち、飢餓に苦しむ人は約9億人、食料の入手に不安を持っている人は、約20億人と推定されています。その一方で、10億人を超す人が食べ過ぎによる健康への悪影響を受けていると推定されています。また、生産された食料の1/3が食べられずに廃棄処分となっています。  

 

 

  2021年12月に「東京栄養サミット」が、図3のように開催されました。岸田首相はコロナ禍もあり、食料問題や栄養不良に苦しむ途上国に、3000億円の食料支援とコロナワクチンの支援を行うことを表明しました。

 

 

東京栄養サミットでは、表1のように、①すべての人々に、健康で生産的な生活には良好な栄養が必要。②栄養不良の二重負荷(不足と過剰)をなくす。COVID-19により増加した子ども 栄養不良を解消する。③健康な食事と栄養改善への公平なアクセス達成することを宣言しています。

  人間は従属栄養生物ですので、食べ物が必要です。原材料の調達、生産から流通、加工、消費までのフードチェーンを維持し続ける必要があります。わが国のフードチェーンは地球全体に広がっています。フードネットと呼んだ方が実態を表しています。COVID-19によりフードチェーンも影響を受けました。チェーンが切れないようにするともに、ネット化して食料の供給が途絶えないようにする必要があります。

 図4に、我々の食生活に影響を及ぼすと思われる国際的な状況を示しました。我が国の見通しは芳しくないと思われます。品質の悪い原材料や食品でさえ入手が難しく、量も十分ではないことも想定しておく必要があります。

 

 

 我々のご祖先は、何度も飢饉を乗り越えてきました。ご先祖は、原材料を見分けて、生で食べられるものは生で食べてきました。調理・加工が必要なものは、手を加えて食べてきました。

 現在の食料調達は高度に分業化されています。これからの食品の安全性確保の大きな課題の1つは、国民各位の食品安全・衛生に関する教育・訓練だと思われます。

 ゼロリスク指向に陥り、金銭で気に入った食品を集める人々が増えると社会的な混乱がもたらされると心配されます。金銭的儲けを企む人達が、詐欺的手法で混乱に拍車をかけることになる可能性もあります。

 

2) フードチェーンに携わるには

 
食品の原材料は食塩などの一部の例外を除けば、生物由来です。食べる人間も生物です。人間の食料調達は、フードチェーンにおける分業で行われています。長い食生活の歴史の中で、特にわが国のフードチェーンの分業の中で表2に示す5S活動が実施されてきました。5Sは、世界各国にも有効性が認められています。

 

 

 現在、Food Safety Culture 食品安全文化の導入が国際的な課題とされています(第52話)。法律や規則を改訂しても、リスク管理マネージメントシステムや最新の機器やAIを導入しても食品事故やクレーム、リコールはなくなりません。人間側に改善すべき課題があるのではないかと指摘されるようになったと思われます。

 わが国では、以前より表2の5Sの5番目「習慣・しつけ」で担当者の自覚・自立を養成していたと思われます(第51話)。「誰が見ていなくても、為すべきことをなす」と習慣づけられていました。

 また、仲間・チームとしての団体行動への貢献も行われていたと思われます。自分さえ良ければ、「後は野となれ山となれ」は恥ずべき行為とされてきました。

 

 

 図5は、3年半前の新聞記事です。米国大リーグで売り出し中の大谷翔平選手は、活躍を始めていました。プエルトリコ出身のマルドナド捕手が、大谷投手の投球が、何時もとチョット違うと感じて上司に連絡を取りました。

 マルドナド捕手のファインプレーだと思います。大谷投手の投球が続いていたら、彼の右肘靭帯は完全断裂していたかも分かりませんね。昨年の大谷選手の活躍もなかったかも分かりません。

 フードチェーンで働く人は、一緒に働く仲間、フードチェーンの上流の人達、下流の人達への思いやりを忘れないようにしてください。何時もとチョット違うと感じたら仲間や上司に連絡を取るようにしていただきたいと願っています。

 

 夢のある良い年になりますように、努めましょう!

 

参考文献:


1)外務省:東京栄養サミット2021の結果概要、令和3年12月9日https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ghp/page6_000636_00001.html

2)厚生労働省:食品衛生の基本となる5S活動https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/haccp/h_pamph/pdf/5s_codex_h2710.pdf

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