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  第72話 「2019年の食中毒について」

 

 

 北海道大学名誉教授・日本食品分析センター顧問 一色賢司

一色先生の略歴

http://researchmap.jp/isshiki-kenji/ 

 

 


 2020年を迎えても暖冬が続いていましたが、新型コロナウイルス感染症が国際的な問題となり、冷静な対応が求められています。我が国でも、国内での感染者の発生に加えて、大型クルーズ船での患者発生と、その対応の問題も抱え、今後の展開が心配されています。図1は2014年の報道の例です。大型クルーズ船でのノロウイルス等の集団感染症の発生は、過去に何度も発生していました。その対策の困難さも指摘されてきました。

 表1は、我が国の2018(平成30)年と2019(平成31・令和元)年の食中毒の概要です。データは2020(令和2)年1月15日に厚生労働省が発表したものを集計したものです。2019年の食中毒の発生件数を2018年に比べると73%、患者数は65%に減少していました。新型コロナウイルス対策と食中毒対策には、共通点が沢山あります。新型コロナウイルス感染症の鎮静化と食中毒の予防に務めながら、昨年の食中毒状況を検討してみましょう。



1)2019年の食中毒は事件数も患者も減少


 表1のように、2019年の食中毒は事件数974件、患者数11,293人でした。2018年の報告値と比較して、事件数も患者数も大幅に減少していました。死者数は3名で、2018年と同じでした。



 表2および3のように、事件数の上位の病因物質は、アニサキス297件、カンピロバクター1,265件、ノロウイルス189件で、アニサキスが初めて第一位となっていました。経年変化は、図2および3に示しました。患者数の上位はノロウイルス5,596人、カンピロバクター1.805人、ウェルシュ菌1,166人などでした。

 ノロウイルスは、2001年から患者数第一位の状況が続いています。新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスと同様に、強い感染力をもっていますので、清潔な暮らしに務め、特に、手洗いや消毒を励行することが肝要です。



2)食中毒の予防と対策


 施設別に見た発生状況は、飲食店(530件、6,238人)での発生が多く、その内訳は、カンピロバクター(224件、1,464人)、ノロウイルス(142件、3,550人)、腸管出血性大腸菌(17件、122人)、サルモネラ属菌(15件、186人)、アニサキス(84件、89人)、クドア(10件、92人)などでした。飲食店での衛生管理の、さらなる強化が必要だと思われます。 多数の患者が報告された事例は、ノロウイルスを病因とするものが多かったのですが、旅館の自家製ローストビーフによるウェルシュ菌食中毒で437人の患者数が報告された事例もありました。
 死亡者が発生した事例は、山菜(1例はイヌサフランの誤食、もう1例の病因植物は不明)と、フグの摂食による計3名でした。

 図2および3のように、カンピロバクターとノロウイルスによる食中毒が多い状況が続いています。カンピロバクター食中毒の原因食品は、鶏肉やその関連品が多く、二次汚染も要注意です。予防には、適切な加熱調理などの徹底が必要です。

 ノロウイルス食中毒は、飲食店や持ち帰り施設などが原因施設となった場合が多いようです。対策の基本は、適切な手洗い、不顕性感染者を含めた従事者の健康管理、トィレ設備の衛生管理の徹底、嘔吐物の適切な処理、適切な加熱調理などです。

 アニサキスは事件数の第一位となっていますが、ほとんどが患者数1人の事例です。アジ、カツオ、サバ、イワシ、サンマなどが原因食品として報告されています。予防には、内臓の除去、目視確認、冷凍、加熱などを目的に応じて使い分けることが必要です。

 化学物質による食中毒も例年良いも少ない報告数ですが、やはりヒスタミンによるものが多いようです。原因食品として、ブリ、アジ、サバ、シイラなどが報告されています。

 改正食品衛生法のHACCPによる衛生管理の制度化が、本年6月1日に施行されます。一般衛生管理を行い、HACCPを導入することが必要となります。自主的衛生管理手法ですので、事業主を先頭に食品安全文化を維持し続ける意志表明を行うことも大切です。

 今回の新型コロナウイルス感染症の対応でも、検査の限界が問題となりました。食品の安全性確保には、原材料の一次生産から、消費者による最終消費までの衛生管理を各段階でしっかりと行う、プロセス管理が大切です。孫氏の教え、「彼を知り、己を知らば」を参考に、清潔なフードチェーンを維持する努力を続けましょう。

 細菌性食中毒予防の三原則は、原因菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」です。ウイルス性食中毒予防の四原則は、原因ウイルスを「持ち込まない」「ひろげない」「つけない」「やっつける」です。第43話「感染症も意識した食中毒対策を」も参考に、これらの原則を新型コロナウイルス対策に応用しましょう。



参考文献:


1)厚生労働省:食中毒統計資料(2020年1月15日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html

2) 日本感染症学会、日本環境感染学会:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)―水際対策から感染蔓延期に向けて― (2020 年 2 月 21 日現在)
http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/covid19_mizugiwa_200221.pdf

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