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  第67話 「食べ物と消化器症状」

 

 

 北海道大学名誉教授・日本食品分析センター顧問 一色賢司

一色先生の略歴

http://researchmap.jp/isshiki-kenji/ 

 

 

 


 秋もたけなわとなりました。食欲の秋を楽しまれている方も多いと思われます。人によっては、図1のように、柿を食べたことによって、胃の中に胃石と呼ばれる固いかたまりができて、体調を崩される方もいるそうです。食道や胃、腸などの消化管の不調は食べた物と深い関係にありますが、全てが食中毒に分類される訳ではありません。消化器症状と食べものについて考えてみましょう。


1)食中毒を含む消化器症状


 消化器の不調には、腹部の痛み、胸の痛み、胸やけ、呑酸(どんさん)、げっぷ、のどのつかえ、のどの違和感、胃のもたれ、膨満感、食欲不振、嘔(おう)気、嘔吐、便秘、下痢、下血などがあります。患者さんを診断した医師が食中毒の可能性を保健所等の公的機関に報告して、食中毒の調査が始まります。多くは原因が不明であり、食中毒としては報告されないようです。

上記の症状は、消化器の不調や異常が原因で起こることもあれば、それ以外の臓器の不調や異常が原因となっていることもあります。上腹部には、さまざまな臓器が集まっています。痛む位置と、病気を起こしている臓器には深い関係がありますが、痛む位置とは異なる臓器が原因である場合もあります。症状だけから、原因となる病気を正確に突き止めることは難しい場合があります。正確な診断のためには、経過や痛みのある位置やその程度などが大切な情報になります。

 表1には、厚生労働省の食中毒統計作成要領に示されている食中毒事件票の病因物質です。以前は、伝染病として食中毒とは別に管理されていたコレラ菌や赤痢菌なども、食品が媒介した場合には食中毒としても対応が取られることになりました。図2のように、食物アレルギーや誤嚥なども食中毒には分類されません(第61話参照)。

 表2には消化器が体調不良の原因となる疾病の例を示してします。日ごろから、暴飲暴食を慎み、食中毒にも気を付け暮らしましょう。表2の疾病が心配される場合は、病院の診察をお受けください。

2)世界保健機関WHOの報告


 WHOは2019年6月に、「食品安全」ファクトシートによる報告を更新しています。概要は以下のとおりです。

①安全かつ栄養豊かな食品は生命の維持と健康の増進に極めて重要。
②有害な細菌・ウイルス・寄生虫・化学物質が混入した食品による疾病は、下痢からガンまで200種以上。
③推定6億人(10人に1人)が汚染された食品を摂取した後に発病、毎年42万人が死亡。
④5歳未満の子供は食中毒によって、毎年125,000人が死亡。
⑥下痢性疾患は汚染食品による最も一般的な疾病であり、毎年5億5千万人が発症し、23万人が死亡。
⑦食品安全、栄養及び食糧保障は密接に関係し合う。安全でない食品が原因で疾病及び栄養失調の悪循環ができ上がり、特に乳児、幼児、老人及び病人に影響。
⑧食中毒による健康被害は医療制度を圧迫し、国の経済、観光事業及び商業に害を与え、社会経済の発展を妨害。
⑨今日のフードチェーンに国境はない。各国の政府、生産者及び消費者間の緊密な連携が必要。


 地球上には食料が不足し、質の悪い食品を食べざるをえない人もたくさんいます。⑥には、消化器症状である下痢で悩み、命を落とす人々が多いことが報告されています。⑦には、食品安全、栄養、食糧保障の関係が述べられています。2004年には、ケニアでカビの生えたトウモロコシによるアフラトキシン急性中毒で317名が発症し、125名が死亡しています。先進国では、発がんを恐れてアフラトキシンの規制が厳しく行われています。世界中で、カビの生えたトウモロコシを食べなくても生きて行けるようになって欲しいと願っています。
 空腹は怖いですね。暴飲暴食も困りますね。


参考文献


1) 水重知子ら、炭酸水による溶解療法が有効であった柿胃石の 2 例、日本消化器内視鏡学 会雑誌、56,3340-3346,2014

2) 厚生労働省:食中毒統計作成要領の改正について、食中毒事件票、平成31年3月29日 https://www.mhlw.go.jp/web/t_img?img=1418032

3) WHO: Food Safety, 2019年6月4日、 https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/food-safety

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