一色先生のコラム

食品微生物とともに生きるために

北海道大学大学院水産科学研究院安全管理生命科学分野  一色賢司 本シリーズは、食品取り扱い関係者のご要望により、食品と微生物の関係を考えるときの参考となるように書き始めたものです。

第1話 微生物と人間

微生物の歴史は人間の歴史よりもはるかに長く、人間は微生物にお世話になっており、微生物がいないと生きては行けません。

一人の人間は、約60兆~100兆個の細胞で構成されており、わが身を舞台にして、ほぼ同数の微生物と共生しています。

foodchain

< 生物界における微生物の位置づけ >


下図は、人間にも生息することがある黄色ブドウ球菌の写真です。大きさは1000個を直線状に並べて、約1mmであり、とても肉眼では見えません。

Staphylococcus aureus

< 黄色ブドウ球菌の電子顕微鏡写真 (白線1μmは1000mm) >

勿論、人間は、微生物による被害を受けることもあります。食品衛生は、食生活に伴う微生物等による健康障害を未然に防ぎ、食品の有益性等を確保する手段となります。安全で美味しい食品の供給と消費には、食品衛生思想の浸透が必須となるわけです。

cookpan

人間は、そのまま生で食べれば体調を崩すものや病原体等の汚染の怖れのあるものは、煮たり焼いたり、さらには油で揚げたりして、より安全で美味しいものに変えて食べてきました。料理は美味しくする為だけではなく、食べられないものを食べられるようにし、より安全なものにするために行われてきました。

その一方、深鍋料理の嫌気性芽胞菌の増殖等、調理が不適節であれば危険性が高まることも経験してきました。

現在では、食料の生産、流通、加工、消費を分業で行うことが多くなり、生物としての人間の位置や、食べ物と微生物の関係を理解する機会を失っている方も多くみられます。食料の生産から消費までの理解と、全過程における衛生的な食品としての取り扱いが求められているわけです(1)

今、食品取り扱い者に求められているのは、信頼感であり(2-3)、微生物と人間の関係についても正しい理解を求めることがその信頼感へ繋がります。 eB[ 食品取り扱い関係者として食の過去・現在・未来に思いを巡らし、誠実に対応することが、信頼感確保の王道であり、「我々は何を食べ、何を食べないようにしてきたか?」を、国民各位に理解していただくための貢献も求められています。

【つづく】

文献:
1)一色賢司編:食品衛生学、第2版、東京化学同人(2005)、
2) 國廣正、五味祐子編:なぜ企業不祥事は、なくならないのか、日本経済新聞社(2005)、
3)国民生活センター:食品関連事業者の消費者対応に関する調査研究〈概要〉 -食の安全・安心の確保のために-(2006)

INDEX

コラムHOME

加藤先生コラム

PageTop このページのトップへ
株式会社バイオシータ (株)バイオ・シータはダイキン工業(株)の研究所で生まれた企業発ベンチャーです
Copyright 2004- Bio-Theta,Ltd. All rights reserved.